こんにちは

今回はエキストルージョン（矯正的挺出）と呼ばれる治療で歯を残した患者様の紹介をさせて頂きます。

この方は５０代女性

主訴は左上の歯が欠けた。他院で虫歯が大きすぎて抜歯、インプラントにすべきと言われたとのことで

セカンドオピニオンで来院されました。

視診、レントゲンによる診査では虫歯によって

見える部分の歯がほとんど崩壊していることがわかりました（レントゲン画像赤丸部）

そこで、虫歯を慎重に慎重に削っていったところ

ギリギリなんとか神経に交通することなく虫歯を全て削ることができました。

ただ、歯茎よりも下側というか、奥の方まで虫歯が進行しており

被せ物をしていくには歯茎より上に出ている歯質（ちなみにフェルールといいます）が足りなさすぎる状態で

確かにこれでは神経をとったり、最悪抜歯もありうるかな・・・という状態でした。

が、たまたまこの歯の根っこは割れていたりせず、健全な状態であり

15mm程度と十分な長さが残っていたため

この歯だけ矯正力をかけて引っ張り出してなんとか使えるのでは？

と説明、相談し、その方向（エキストルージョン）でいくことに同意を得ました

見えないようにワイヤーを装着し4mm程、矯正的に引っ張り出す処置を行い

その後少しだけ周囲の骨の形態を整える小手術を行い

なんとか神経を残した上で被せ物をしていくにあたって充分な歯質を歯茎の上に出すことに成功しました。

そしてセラミックの被せ物を装着し、現在５年ほど経過し

後戻りもなく神経の状態も全て問題なく機能しております。

患者様は「抜歯、インプラントにならずに

自分の歯で過ごせて満足しています」とのことでした。